2022-11-18
沖澤のどかは、前半、ちょっと優等生的な指揮ぶりだったが、ブラームスになって小柄な身体を大きく使い、身振りが激しくなった。アンサンブルの精度はもうひとつだが、音楽の表情はたしかに濃厚になり、熱演であった。
ブラームスが交響曲において、古き時代のシャコンヌを用いたことは、後世へ少なからぬ影響を与えた。ドヴォルザークは「交響曲第8番」の最終楽章で変奏曲形式を採用した。ヴェーベルンは管弦楽による「パッサカリア」を書いた。ショスタコーヴィチ、ブリテンなども管弦楽のためのシャコンヌ、パッサカリアを作曲している。ブラームスの「交響曲第4番」は、それまでの作曲技術に新たな焦点をあて、次世代へ継承したともいえる。懐古主義者ブラームスではなく、先駆者ブラームスとしての面目躍如である。
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