2023/4/12 周防亮介×Jpo弦楽五重奏 パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番
2023-04-12


開始楽章のフラジオレットの繊細さ安定度にびっくり、重音も濁らない。鮮やかすぎるカデンツァに唖然とする。中間楽章はヴァイオリンの音で身体がとろけそうな錯覚に陥った。最終楽章のスピッカートも活き活きとしている。跳弓とはいうが何種類あるのだろう。ダブル・ハーモニクスも軽々と難なくこなしていく。ヴァイオリンは魔性の楽器だ。とにかく美しい。
 目論見通り超絶技巧に圧倒されただけでなく、出来のいいオペラを楽しむかのように音楽を堪能した。

 そういえば、シューベルトも家具を売って金を工面し、パガニーニを聴いている。しかし、シューベルトはパガニーニの超絶技巧に影響はされなかったようだ。自らの感情表現にはほど遠いと感じたのだろう。では、パガニーニは技巧だけの刹那の音楽なのか。いや、超絶した技巧そのものにパガニーニの情念が乗り移っている。だからこそ、数百年後まで生き延び、こうやって聴く者に快感だけではない、言い知れぬ感情を呼び起こす。

 周防亮介のアンコールは、シュニトケの「ア・パガニーニ」、現代音楽というより未来から来た音楽のよう。これがまた端倪すべからざるもの、この先、周防亮介から目が離せない。
 ランチタイムコンサートといいながら15時開演、実は先に11時半開演の同一プログラムがあった。本来のランチタイムコンサートは大ホールで11時半に開催される。今日だけ会場が小ホールのため、2回開催となった由。

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