2023/4/16 ウルバンスキ×東響 プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」とシマノフスキ「スターバト・マーテル」
2023-04-16


「スターバト・マーテル」のテキストはラテン語でなくポーランド語らしい。全6章からなる。極めて静謐な出だし。ソプラノのシャトゥロヴァの透明な声と女性合唱がホールにしみわたる。第2章は単純で重々しいリズムに乗ってバリトンの与那城敬が力強く歌う。メゾ=アルトのロンベルガーが東響の木管群と歌い交わす第3章。第4章はアカペラ、管弦楽が沈黙するなか東響コーラスの合唱に涙する。第5章で合唱と管弦楽が総奏しクライマックスを築く。終章は祈りに満ち、柔和で光に溢れた声が広がる。
 20世紀、両大戦の中間に書かれた宗教音楽だけど、古風な雰囲気が漂い、民族音楽に通じるような懐かしさも感じる。3人のソリストと合唱団が見事、そのうえ精緻な管弦楽が加わる。浄化され天上に連れて行かれるような感覚を味わった。

 年度末に東響から何人かの首席が抜けた。今日のホルンの1番、3番も客演だったと思う。しかし、演奏を聴くかぎり精密で立体的な響きは健在。ちょっとした心配は杞憂に終わったようだ。
 それと、ウルバンスキの成長ぶりが頼もしい。監督のノットは10年目に入った。あと数年、契約延長を行うとしても、後任を考える時期である。後継にはこのウルバンスキかロレンツォ・ヴィオッティが有力候補であれば嬉しい。いまウルバンスキは主要なポジションに就いていないはずだから、再度、客演指揮者などに招いてもいいのではないか。
 今年度も東響の音楽とニュースには要注目である。

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