2025-08-23
Orchestre de SAVEUR 第4回演奏会
日時:2025年8月23日(土) 13:30開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:山上 紘生
演目:ベートーヴェン/交響曲第2番
ブルックナー/交響曲第7番
山上紘生は20代の若手指揮者。最近までシティフィルの指揮者研究員を務め、今はアマオケでの活動が中心のようだ。シティフィルの研究員のとき、急病の藤岡幸夫の代役を務め評判になったことがあり、一度聴いてみたいと思っていた。今回、プログラムと会場の利便性に魅かれチケットをとった。
Orchestre de SAVEURは、木管アンサンブル団体を母体に結成された比較的新しい管弦楽団。コンサートマスターの柴田恵奈は桐朋出身のヴァイオリニスト。2022年の旗揚げ公演以降、すべて山上が指揮をしている。設立して4回目の演奏会で大胆にもブルックナーに挑戦する。
アマオケでありながらそれを忘れさせるようなブルックナーを、連続して聴かせてもらった。古希の征矢は豪放な、若き山上は緻密な、という違いはあっても、どちらも記憶に刻まれるであろう演奏だった。
山上は師匠の高関や藝大先輩の太田に似て、堅実できっちりとした音楽をつくる。堂々たる歩みでテンポを大きく揺らさない。第1楽章の低弦のうねりと抑揚、3楽章スケルツォのゆったりとして揺るぎのない進行は、過去に例がないほど独特だったけど、これみよがしなところはない。音はふっくらとしているものの重くなりすぎることがない。全体の感触は冷たさにはほど遠く温かいくらいだが、ときどきひんやりとした風景もみせてくれる。なるほど、この温度感が「7番」には相応しい。
オケの弦楽器はほぼ12型と小ぶり。ただし低弦のチェロとコントラバスを増強していた。柴田恵奈がコンマスを務めた弦5部のアンサンブルは美しく、ホルン、ワグナーチューバ、トランペット、トロンボーンなどの金管かみな達者。特にホルンとトランペットのトップは技術、音色とも一級だった。
団員はざっと見渡すと20代、30代の若い人が中心のようで、男女比は4対6といったところか。結成4年目とは思えないほどの優秀なオケである。
前半はベートーヴェンの「第2番」。新しい発見とか気付きとかはあまりなく、がっしりと構築されたオーソドックスな演奏だった。音楽以外のことが頭に去来して往生したが、それだけ安心して聴くことができる音楽だったのだろう。
とまれ、山上紘生は若手指揮者の有望株であることは間違いない。これからも注目していきたい。
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