2022/12/3 藤岡幸夫×東響 フォーレとラヴェル
2022-12-03


休憩後のラヴェル。はじめに5曲からなる「マ・メール・ロワ」組曲。
 「眠りの森の美女のパヴァーヌ」は、やはり相澤さんフルートが先導し、その奏でる東洋的な旋律が、いろいろな楽器に歌い継がれていく。「おやゆび小僧」では不安げに変化する拍子のなか、森の小鳥の鳴き声が聴こえる。「パゴダの女王レドロネット」は、軽快なリズム、中国風音階のにぎやかな旋律、マリンバが大活躍し銅鑼が鳴る。「美女と野獣の対話」では、美女であるクラリネットと野獣のバスーンの対比が聴きどころ、ハープのグリッサンドも美しい。「妖精の園」はソロヴァイオリンとヴィオラがしっとりと歌い、最後は華々しく盛り上がる。
 音の色彩で描かれた童話の世界。藤岡さんは全編ゆっくり穏やかに話を紡いで行く。ちょうど冬の陽だまりで、ロアお母さんのおとぎ話を聴いたような気持ち。

 最後は御存じ「ボレロ」。
 スネアドラムが延々とリズムを刻み、同じメロディを様々な楽器で繰り返す。繰り返すごとに音量がだんだん大きくなり、最後は爆発的に崩れ去る。この「ボレロ」のアイデアがショスタコーヴィチにかかると敵軍の来襲ということになる。それに、スネアドラムによって、たびたび弾丸が飛び交う様を描いていた。
 本家の「ボレロ」は“オーケストラの魔術師”ラヴェルの真骨頂である。演奏するにはなかなか難しそうだけど、そこはプロ集団、理屈なしに楽しませてくれた。

 今日の演奏会、合唱席と感染防止のため1階センターの前3列は空席としたが、あとはほぼ満席だった。お客さんたちの目当ては分からないけど、良き演奏会へのアンテナはしっかりと張り巡らされているようだ。フォーレの「レクイエム」だけでも今年屈指の演奏会のひとつとなった。

 今日の演奏会もニコニコ動画で中継された。いつものように暫くはタイムシフト視聴ができる。
 
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