2025/4/27 ルイージ×N響 マーラー「交響曲第3番」
2025-04-27




NHK交響楽団 第2036回 定期公演 Aプログラム

日時:2025年4月27日(日) 14:00 開演
会場:NHKホール
指揮:ファビオ・ルイージ
共演:メゾ・ソプラノ/オレシア・ペトロヴァ
   女声合唱/東京オペラシンガーズ
   児童合唱/NHK東京児童合唱団
演目:マーラー/交響曲第3番 ニ短調


 ルイージとN響の組み合わせは初めて。ルイージについては過去2度、PMFとデンマーク国立響を指揮したとき聴いている。PMF東京公演の演目は全く思い出せない。デンマーク国立響とは美歩・シュタインバッハ―をソリストとしたブルッフとベートーヴェンの「第7番」だった。ブルッフには感心したけどベートーヴェンは勢いばかりが空回りしているようで散々だった。それ以来足が遠のいている。
 今回はマーラー「第3番」に魅かれてチケットをとった。来月のN響ヨーロッパ公演、アムステルダムでの「マーラー・フェスティバル2025」における演目のひとつだという。マーラーの「第3番」といえば、随分むかし、N響ヨーロッパ公演でインバルが指揮したことがある。そのときの放送を思い出す。インバルのそれはマーラー演奏のひとつの到達点だと思わせるものだった。その後、都響との実演に接したときにも同じことを感じた。果たしてルイージはどうだろうか。

 テンポよくホルン9本の斉奏のあと、速度を緩めパウゼをたっぷり取る。音楽が分断されうまく流れていかない。節回しには癖というか変な抑揚がある。楽想の終わりをテヌート気味に処理するのも止めてほしい。名手揃いのN響だから大きなミスはないものの、金管奏者などは吹き難そうに思えた。もどかしいまま開始楽章が終わる。その後も違和感は払拭されず、メヌエットもスケルツァンドも何となく通り過ぎていく。メゾのオレシア・ペトロヴァの声は魅力的だけど、合唱は人数が多いせいか透明感に欠けた。最終楽章は弱音を意識しすぎて美しさが損なわれた。巨大な交響曲なれど軽みと高貴な音色がほしい。全体に結構を大きくしたいとの意図があからさまで、もったいぶった演奏に感じられた。

 ルイージは今もデンマーク国立響のシェフだと思うが、ドレスデン国立歌劇場の音楽監督やメトロポリタン・オペラの首席指揮者、ウィーン交響楽団やスイス・ロマンド管弦楽団などはすでに卒業している。赫々たる経歴の持ち主ながら相性があまりよろしくない。久しぶりの2日連続の演奏会、疲れが倍加したようだ。それはともかく、N響のヨーロッパ公演の成功を祈りたい。
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